~プロローグ~

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城咲高校・3年生校舎。 受験シーズン目前とは思えない賑やかさ。 その中でも、3年A組は特に緊張感が無い。 その原因は…… 「3、2、1っ…」 「おっはよーっ!!」 「来たーっ!おはよー夏輝ーっ!」 「マジかよーっ(泣)」 チャイムと同時に勢い良くドアを開けて姿を現したのは、夏輝。 どうやら賭けをしていたらしく、明暗が分かれている。 「何でだよ、チャリだろ!?静岡だろ!?普通帰って来れねーってっ!」 「夏輝を常人と一緒にするからだ、バーカ」 「昼飯おごれよ」 窓際の席で騒いでいるのは、友人の桐谷葉月、高岩浩輔、吉原健。 いつもの光景なので、夏輝も自然に会話に加わる。 「はは、高岩1人負け?」 「夏輝っ、てめ、笑い事じゃねぇよ!今月3連敗だっつの!やべぇ、財布ちょーいてぇっ!」 「桐谷、今日はA定唐揚げだっけ?」 「あぁ」 「Σおい健っ!高級定食頼む気満々か、てめーっ!」 「自分で買わないからこそ迷わず頼める」 「ふざけんなーっ!」 激しくなる言い争いを眺めつつ、夏輝は鞄から袋を取り出した。 「2人とも、その辺でやめー。それよりコレ。今回の土産☆」 「毎回買ってくるとかバカだろ」 そう言って、桐谷は呆れ顔で土産を受け取る。 と、そこに高岩が割って入った。 「桐谷っ、いらねーなら受け取んなっ」 「いらないとは言ってない」 「キャンキャン吠えんなよ、浩輔」 「健っ、てめっ、人を犬みたいにっ…」 「確かに高岩は小型犬ってカンジだよなー☆」 「うるせーよ夏輝っ!笑うなチクショーっ」 吉原と夏輝にいじられて腹が立ってきた高岩は、夏輝の手から袋を奪う。 そして、中身を取り出した。 「…なんだコレ?」 「あ、わかった。物産展」 「吉原、正解☆飲み物買いに入った店でたまたま北海道の物産展やってたから、みんなにと思って」 「Σ何で静岡行って北海道土産買ってくんだよっ!?バカかっ!」 「ははっ、夏輝らしいな」
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