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盛り上がる3人に、クラスの皆も思わず視線を送る。
いつもの風景。
と、そのやり取りを見ていた桐谷が、違和感に気付いた。
「木下(担任)遅くね?」
間。
「そういえば本鈴鳴ったよな」
「珍しいね~」
「何かあったのかな?」
桐谷の言葉に、周りの生徒達も騒つきだす。
と、高岩が声を上げた。
「あっ!そーいや夏輝の事探してたぜっ」
その一言で、一斉に夏輝に視線が集まる。
当の本人は、きょとんとして。
「え?なに、俺のせい?」
「らしいな」
「ははっ、お前ホント無自覚だな」
周りも笑うだけで突っ込まない。
こんな会話も日常茶飯事だからだ。
「あ、木下はっけーんっ」
窓の外を眺めていた生徒が、下を指差した。
他の生徒達も、窓際に集まる。
「おはよー木下ーっ☆」
一番前で覗き込んだ高岩が、下に居る木下に手を振った。
「おー、おはよう高岩!ってお前な、先生って呼べって言ってるだろーっ!」
気付いた木下は、言いながら手を振り返す。
「細かい事は気にすんなー!てか、夏輝来てるぜーっ」
「Σ!!本当かっ!わかった、すぐ行くから捕まえておいてくれっ!」
「りょーかーいっ☆」
高岩は、敬礼のポーズをして走る木下を見送ると、ギャラリーの後ろに声を掛けた。
「夏輝ー、木下来るぜー」
「どっち?」
「中庭からだから…多分左の階段から上がってくるんじゃねー?」
「ん、じゃあ迎えに行ってくる」
「行ってらっしゃーい」
呑気に出て行く夏輝と、見送るクラス一同。
姿が見えなくなると、高岩が口を開く。
「こんな時期にこんな騒動ほぼ毎日起こして許されるのって、絶対に夏輝だけだよな。ずりぃよー」
「はは、天然愛され体質ってか。な、桐谷」
「いつでも自然体だからだろ」
3人の言葉に、周りも納得したように頷いた。
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