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まずは階段を上がってすぐの、次男・夏輝の部屋。
ノックをして、声を掛ける。
「夏兄ー、起きてるー?」
「おー。すぐ行くから、春輝起こしてやれー」
「…?うん…わかった」
いつもと違ってすぐに出て来ない事を怪訝に思いながらも、促されるまま、廊下の奥へ。
一番奥の突き当たり、長男・春輝の部屋。
此処だけは入る事が許されない。
本人が嫌うのは勿論の事、過去、夏輝が起こしに入った時に散々な目に遭わされて以来、それは暗黙の了解となった。
かなりの低血圧なので起きてないであろう事は予測できたが、一応ドアの外から呼び掛ける。
「春兄ー、起きてー」
「…………」
「春兄ー」
「…………」
「………」
まったく起きる気配が無い部屋の主に溜息を吐きつつ、携帯を取り出す。
春輝は、いくら呼んでも反応しないのに、着メロが鳴ればすぐ起きるのだ。
『……もしもし…』
「あ、起きた?ご飯冷めるから下りて来て」
『…あ゙?めんどい。持って来いよ』
「Σはっ!?やだよ、僕だって面倒くさいよっ!」
『てめえに拒否権はねぇ』
「なんでっ!?あ、ちょっ、待っ…」
電話は一方的に切られてしまった。
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