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「あ…わざわざ持って来てくれなくても良かったのに…」
「可愛い弟の為だし?」
「…ありがと」
「どういたしまして☆」
秋輝が受け取ったのを確認すると、夏輝は、荒っぽく頭を撫でて笑う。
慣れたソレに、秋輝もくすぐったそうに笑みを溢した。
++++++++++
「また寝てる…」
「さっきまで起きてたのになー」
リビングに下りて来て、秋輝は速攻溜息。
「なんかさ…冬輝って春兄に似てきた気がする…」
「確かになー☆ま、でもまだ全然可愛いだろ」
「今からあんなレベルだったら大問題だよ」
もう呆れきった様子で、秋輝はキッチンに入っていった。
夏輝はその背中を見送って、冬輝の横でしゃがむ。
「冬輝、起きろー。メシだぞー」
「……んー…」
「学校遅刻するぞー」
「…ん……夏に…?」
「起きたか?おはよう」
夏輝に起こされて、目を擦りながら体を起こす冬輝。
まだ寝足りないような顔をしている。
「おはよ…」
「ほら、しっかりしろ。とりあえず顔洗ってこい」
「…うん」
「…なんでか夏兄の言うコトはちゃんと聞くよね」
洗面所に行く冬輝を見送って、秋輝が口を開いた。
それを聞いて、夏輝は不思議そうな顔をする。
「そうか?」
「そうだよ」
「でもアイツが一番甘えてんのはお前だろ」
「どーだか」
「素直じゃないけどお前のコト好きだぞ、冬輝は」
そう言うと、夏輝は秋輝の頭をポンポンと叩く。
と、そこに、冬輝が戻って来た。
「…ハラ減った…」
「じゃあご飯にしよっか」
「パンのが良い」
「ワガママ言わないの」
「2人とも、早くしねぇとマジで遅刻するぞ」
「あ、ごめんっ」
「いただきます」
藤宮家の朝は、苦労性な三男・孤軍奮闘。
そうして始まる、いつもと変わらない1日。
end...
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