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鉱山の街、オーレ。
豊かな鉱脈走る地に職を求めた鉱夫が集まり出来た街である。
市街地には家、というよりも掘っ建て小屋のようなものが多く立ち並び、商店街には宝石や装飾品を取り揃えた店が多く立ち並んでいるようだ。
通も余り整備されてはいないようで、あちこちに砂利やら大きな石やらが乱雑に撒き散らされている。
商人の護衛を終え、街の中を散策するライズとカーティス。
街中には鶴嘴などを片手に行き交う鉱夫や、観光客らしき人々で非常に賑わっている。
歩む皆の目的は、やはり美しい鉱石のみのようだ。
「綺麗な石がいっぱいだねぇ。ぼくもほしいなぁ……」
「あってもどこに付けるというんだ……? まぁ俺は貴金属類は余り好きでないがな。戦闘の邪魔になるだけだ」
並ぶ装飾品に目移りし、カーティスが甘えた声を上げた。
その誘惑も途端に蹴られてしまったのだが。
「ぶぅー……ライズのけちぃ……。てかイヤなら外せば、それ? そんで外してぼくにちょうだいよ~?」
冗談混じりにねだるカーティス。そしてライズの耳元へと目を向けた。
嫌い、と言っている割に、彼の左耳には紅い宝石で造られた小さなイヤリングが身につけられている。
イヤリングは天から燦々と降り注ぐ陽の光に照らされ、艶やかな髪の隙間から僅かに煌めきを放っていた。
大事な代物なのだろう、宝石の表面には傷一つ無い。
「……これは特別だ。
大体、お前が付けたところで似合わんさ」
髪を払い、不適な微笑を湛えるライズ。
頬をふくりと膨らませるカーティスを他所に、彼はそのまま商店街を通り過ぎて行った。
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