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結局その日はマスターにこってりと絞られ、鉱山に行くことは叶わなかったようだ。
仕方なく明日の準備を整え、それぞれ街の宿で休息を取った模様。
翌日も少しばかり不機嫌そうなライズとセフィラだったが、間をカーティスに取り為されながら鉱山へと向かうのだった。
―――鉱山内部
中は発掘現場ということである程度の整備はされていたが、やはり歩きにくいようだ。
入口周辺では鉱夫たちが鶴嘴やハンマーなどの手入れをしている。
だが鉱夫たちの表情は皆暗い。
鉱山の薄暗さも合重なっているのだろうが、顔の彫りが異状に深く若干気味が悪い。
恐らく地下でうごめく“物”の為に作業が滞っているのだろう。
得体も知れないのだ、恐怖を抱かない方がおかしいのかもしれない。
「はぁ~あ……まったく、昨日は酷い目にあったわ……」
「その話はもういい。
マスターの店で暴れた俺らの失態だ……。それより、さっさと済ませるぞ。こんな薄暗い所に居続けいてたら息が詰まる」
溜息を含み、愚痴を零すセフィラ。
そんな彼女とは反対に、ライズはすたすたと鉱山内部へ歩みを進めて行った。
その会話を最後に、一行はどんどん地下へと降りていく。
ふと後ろを振り返れば、ぽっかり開いていた入口は大分小さくなり、奥へと進行する程に深く、昏い、不穏な空気が漂い始めていた。
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