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「さっきのお返しよ……!」
よろめき、倒れるゴーレム。
だが、地に膝を付いたまま、ゴーレムが左腕で口と思しき部位の中に辺りの岩石を放り込みだした。
すると、多量のガスと共にバキバキと腕が再生し始めたではないか。
ゴーレムは無機物。
無機物系の魔物に再生能力があるというのは非常に稀だ。
「なっ……どうなってるの?!
確かに壊れたはずなのに!!」
「ゴーレムに再生能力があるなんざ聞いたことがない。
それにこのガスは……?」
予想外の行動に呆気に取られる二人。一旦間合いを置き、様子を伺う。
その時、ゴーレムの胸部で一瞬何かが光った。それと同時にゴーレムが重い巨体を持ち上げ、再び動き出す。
その光に眼を見開き、思わずカーティスがライズに問い掛けた。
「……ライズ、今の光……もしかして?!」
「まさか……、な。
だとしたら……このままほおっておくわけにはいかんだろう」
「何よ、あなたたち……。今の光がどうしたって――?!」
だが言葉を言い切る前に、眼前に迫ったゴーレムの鉄拳が飛んで来た。
左右に身を翻(ひるがえ)し、攻撃を避ける二人。辛うじて回避には成功したようだ。
「くっ……後で話す! 今はこいつをなんとかするぞ!」
咄嗟にそう叫び、ふて腐れるセフィラをなだめるライズ。ゴーレムの攻撃は止むことを知らず、二人とも避けることで精一杯だ。
セフィラの強化魔法も切れたのか攻撃力も元に通っている。
「駄目……、これじゃ埒があかないわ! なんとか動きを止めないと……」
「少し考えさせてくれ……。必ずなんとかしてやるからそれまでこいつを頼む」
「わかったわ! ……ってなんでか弱い私が防いでなきゃならないのよっ?!」
「……どこがか弱いんだ。
お前は俺よりランクが上なんだろ? ほら、前々」
ふと気が付くと、眼前にはゴーレムの拳が在った。ライズの一言で間一髪攻撃を防ぐセフィラ。
足で地面を踏み締め、腕を弾き返しながら一旦後ろに下がった。
「……なんとかならなかったら後で吹っ飛ばしてやるわ」
ぼそりと恐ろしい呟きを零す。そしてセフィラは半強制的に戦い始めたのだった。
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