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再生までへの経由を振り返り、考え込むライズ。
しばし黙りんだ後、疑問の解を出したようだ。カーティスを呼び出し何かを伝えている。
「――……できるな、カーティス?」
「もちろんだよ!」
得意げに笑い、ぱたぱたと羽ばたいていくカーティス。ゴーレムの攻撃が届かない程度まで飛んで行き、その場で次の指示を待った。
「セフィラ! もう一度強化魔法で攻めてくれ。
今度はいけるはずだっ!」
声を張り上げ、防戦に当たっていたセフィラにも指示を出した。
確信があるのかは分からないが、攻撃するよう促している。
「……ホントかしら?
魔力も尽きそうだから後一回しか出来ないわよ?!」
半信半疑ながらも、残りの魔力で素早く魔法を形成し、セフィラは風を纏った。
勿論光を絶やさぬよう多少の力は残しているようだが。
「恐らくこれで……。
だが、念には念を入れるか」
するとライズも剣を地に突き刺し詠唱を始めた。
言葉が紡がれる度に彼の周囲には冷気が漂い、温度が急速に下がっているよう。
白く凍てついた空気が衣のように彼の周りを取り巻いた。
『ゴオォォォオーーー……!!』
それから一時を置き、悲鳴ともとれる叫び声と共に、ゴーレムの体の回りの鉱石が再び剥ぎ取られていく。
やはりというべきか、またゴーレムが再生の為に石を拾い始めた。
「今だカーティス、吹き飛ばせ!」
「あぃっ!!」
ライズの指示に従い、思いきり息を吸い込むカーティス。
途端に身体は元の二倍程に膨れ上がり、限界のところで一瞬止まる。
若干後ろにのけ反ったかと思うと、一気に体内の空気を吐き出した。
渦巻く風が淀んだ空気を取り除く。カーティスはその小柄な体格から想像出来ぬ程の風量、風力で一気にガスを吹き飛ばしてしまった。
その勢いに前線で戦っていたセフィラも危うく吹き飛ばされそうになっていたが。
驚きと怒りを全面に出し、カーティス目掛け声を荒げた。
「カーティス! 危ないじゃないのっ?! ――って、え……ゴーレムが……」
だがその勢いも途端にしぼむ。
何故なら、先程まで機敏に動き回っていたゴーレムの身体が止まったのだ。
僅かに軋み、節々からは悲鳴のように岩の擦れる耳障りな音を響かせていた。
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