3223人が本棚に入れています
本棚に追加
安堵の溜息をつき、ライズが剣を引き抜いた。それを鞘に収め、直後にカーティスへ指示を出す。
あぃっ!、っといつも通りに返事をし、子竜は先程ゴーレム内部で光った部分を剥ぎ落としに掛かった。
石屑を掃い、取り出した物は手の平程の大きさの丸い珠。
淡い橙色に光るそれは、どこか奇怪な力が滲み出ているように見える。
「とれたよライズ~! どぉ?」
「この魔力、間違いないな。これで二つ目か……」
何やら珠を手にとり話し合うライズとカーティス。
だが、一人話しのわからないセフィラが不躾に彼等の間に割り込んできた。
「ちょっと待ってよあなたたちっ! さっきから何の話しをしてるの? それに、ゴーレムから出てきた珠は一体……?」
溜まった疑問を感情に任せて投げ掛けるセフィラ。
だが、その問いにライズは何故か黙りこんでしまった。
「だんまり?
……あなた、後で話すって言ったわよね?」
更に突き詰められる問いに眉を寄せ、渋い顔をするライズ。
確かに彼は咄嗟ながらも“話す”と言い放ったのだ。幾分、彼の方が部が悪いようで。
ライズはしばし苦虫を噛み潰したような面持ちのままであったが、迫るセフィラの眼力により、彼が折れた。
「……仕方ない、さっき話すと言ったんだったな。だが少々長い話しになる。こんな薄暗いところでは難だし、一度酒場に戻ってからにしないか?」
「わかったわ。
あとでちゃんと説明してね。
さってと。やっとこ倒せたんだしさっさと戻ってマスターから報酬たっぷり貰わなきゃっ!」
「相変わらずお前は金のことばかりだな……」
何よ?!、とライズに向け槍を突き出すセフィラ。
本気で来るからまた恐ろしい。
だがライズとて易々と刺されるわけにもいかない。
勿論するりとかわされている。
どこか戯れを含んでいるようにも見えるが、一つ違えば血を見る事は明確だろう。危ないことこの上ない。
最初のコメントを投稿しよう!