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ようやくゴーレムを倒し終えた一行。
すでに日は西の方に傾き始め、這い出てきた煤塗れの顔を朱く照らした。
「ふー、太陽が懐かしいわね……。にしても思ってたより時間掛かっちゃったみたい」
「大分奥に居たからな。殆ど移動に費やしたんだろう。
さぁ、さっさとマスターの所に行くぞ」
身体の煤を素早く掃い、すたすた街へと歩むライズ。
慌ててセフィラも汚れを掃い、ぱたぱたと彼を追い掛けた。
「そいえばライズ、腕のケガ大丈夫? 痛まない……?」
ふと腕を見れば、滲んだ紅い血が縛り付けた布へと浮かび上がっている。
気が付いたカーティスが心配そうに尋ねるが。
「ん? あぁ、たいしたことはない。ほおっておけば治る」
と、軽く腕を振って見せ、なんでもないと強調しているよう。
だがそこへ近付いてきたセフィラに腕をわしづかみされた。
患部を直接触ってはいないが、鋭い痛みに思わず顔が歪んでいる。
「何をする……!」
「『何をする……!』、……じゃないわよ! あぁ~あ、よくまぁこんな腕で戦ってたこと……。
雑菌でも入ったら後で大変だってあなたもよくわかってるでしょう?
ほら、手当してあげるからマント脱いで!」
てきぱきとマントを取り去り、カーティスへと渡すセフィラ。
手持ちの包帯と傷薬をスカート下のポケットから取り出し、患部へと手を回している。
慣れた手つきで傷口に治療を施された後には、純白の包帯が綺麗に巻かれていた。
「……お節介な奴だ」
余り気が進まないのか、しかめ面のまま腕を眺め、浅い溜息を吐いている。
だが断るまではしなかったよう。潔くセフィラの看病に応じるライズだった。
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