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手当を終え、再び酒場へと足を運ぶ一行。
酒場に入ると、相変わらず男どもの酒に溺れる姿や哀愁が漂っているような姿が見える。
込み合う中を押し退け、マスターのいるカウンターに座りこむ。
「おぉ、お前たち! 無事だったみたいだな。……どうだ、倒せたか?」
仕事の手を止め、近付くマスター。恐らく結果もわかっているのだろうが、笑みを浮かべて問い掛けた。
「ええ、無事終了しましたよ」
「流石だな! これで鉱夫たちも安心して仕事ができる。ほら、報酬の2100Gだ! “なかよく”分けるんだぞ」
後半部分を強調しつつ準備していた報酬を手渡すマスター。
軽く礼をし報酬を受け取るライズであったが、その面持ちには僅かに苦笑いが浮かんでいた。
「あっ、マスター。これって換金できないかな?」
ふと、セフィラが懐から鉱石と思われる石をいくつか取り出し置いた。
激しい戦闘であったというに、いつの間に採ってきたのやら。
「ふむ、見た限りよさそうな鉱石だが。……傷がかなりついてるな。削る時のコスト等を考えれば余り高くは売れなさそうだぜ?」
そんなぁ~、と大袈裟に落胆してみせるが、マスターにはいつものこととばかりに軽く流されてしまったよう。
「ならマスター、こいつはどうです?」
そんな拗ねるセフィラを押し退け、前に出るライズ。その後、ことりと赤く光る鉱石をカウンターへ置いた。
「んんっ? こいつは……ピジョンブラッドかっ?!(※ルビーの仲間)鉱山内でも滅多に採れない代物だ。よくこんな珍しい鉱石見つけたな」
手に取り、感心しながら鉱石に見入るマスター。
こちらもいつの間に採ってきたのやら。
「ゴーレムの身体についていたんです。背中にもういくつかついていたんですが……」
そう言ってセフィラをちらりと垣間見るライズ。本人は素知らぬ表情で何のことかしら?、と顔を背けてしまっているのだが。
「これなら高値で売れるぞ。
それにしても、その鉱石まみれのゴーレム……、一体何処から来やがったんだろうな」
「最近各地で魔物の被害にあう村や街が増えてるって聞くけど……それと何か関係あるのかしら?」
しばし考えに耽るが疑問に答えを出すことは叶わなかったよう。
もちろんそのままわからないことを考えていても仕方がない。
一先ずは仕事が無事終了したことを祝い、祝杯を挙げることとなった一行であった。
ゴーレム討伐、成功。
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