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「これは過去の話だ。当時、世界は荒れ果てていたらしい。一部の権力者たちによる戦争、それによる疫病、飢餓……人や他の生き物が次々と死に絶えていく混沌とした世界が広がっていたという。
そんな世で、竜はある使命を果たしていた。
それは“オーブ”と云われるこの世の全ての理が刻まれた七つの宝珠、そして開け放ってはいけないとされる門を封じる“楔”の守護。
楔はオーブの封印によって繋ぎ止められ、楔の破壊は世界の崩壊を示すとされていた。
だが……、愚かにもオーブを求めた人々が竜を殺し、楔を破壊せんと試みたんだ。
戦争を終結させる為か、はたまた己らの力を示す為か、なんとしてでもとオーブを欲した。竜との死闘の末、ついに人々はオーブの封印を解き放ち、楔を破壊した。
なおも人々を止めようと竜は足掻いた。だがオーブを手に入れた者達に敵うはずもなく、竜はそのまま封印されたという。
皆、始めはオーブの奪取に喜び勇んだものだった。だが――……」
と、そこで今まで潔く話を聞いていたセフィラが不意に口を挟んできた。
「ねぇ、その封印していたオーブっていうのがその“珠”なの? それにその楔って一体……」
「…………。そして、楔に封印されていた禁断の扉が開かれた」
「……シカトですか。」
むすりと膨れるセフィラを横目に、なおもライズの話は続く。
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