嘘か真か―…

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    「開け放たれた扉からは凄まじい闇と魔力が溢れ出し、その場に居た者たちは次々と魔力の暴走に巻き込まれ、息絶えた。 その頃から世界各地に魔物が出現し始めた。それと同時期だ。人々が魔法を扱うようになったのは……」 「確か、魔物は強い魔力にあてられた動植物が突然変異を起こしたものなのよね?」 「ああ。 能力者もあるいは突然変異の一種なのだろう。遥か昔には魔力なんてこの世に存在してなかったようだな。楔によって封じられていた門が開かれたことにより、凶悪な魔物が次々と出現し世界の在り方は変貌した」 「そんなことが起きれば世界は戦争なんかやってられないでしょうね。魔物への対処、現れ始めた能力者たちの扱い、恐怖にかられた市民の暴動だって考えられるもの。 でも、なんであなたがそんな昔のことを知ってるの? 門や楔は今どうなってるの? あなたはオーブを集めて何をするつもりなのっ?!」 と、そこまで言った時、セフィラの剣幕に驚いた周りの客らが一斉に振り返った。 それに気付きセフィラはすみませーん、と気まずそうに謝っている。 「俺のことについて話すといつ言った? 約束は守ったはずだ」 「ちょっ、全然守れてないわよ! ここまで話しておいて言わないとか気になるじゃ――?!」 「「……」」 客の視線が大変痛い。 これ以上騒げば襲い掛かってきそうな勢いだ。 言葉を飲み込むセフィラを呆れ顔で見た後、席を立ちマスターの元へと歩んで行った。 「とにかく、この話については終わりだ。飯代は俺が払っておく。カーティス、行くぞ」 「ふぁ~い……あれ、ライズがいっぱいだぁ?」 何故かぐでんぐでんに酔ったカーティス。恐らくマスターが飲ませたのだろう、ふらふらしながら飛んでいる。 「ねぇ、これだけは教えて? あなたはオーブで一体何をするつもりなの?」 「……私欲の為ではない。それだけは確かだ」 言い放ち、ライズは酒場を後にする。 残されたセフィラは彼の背中を見続けていたが、難しい顔で再び酒を煽りだした。 外では酔いの回った身体を覚めさせるように冷たい風が流れている。 既に夜は更け、満天の星空が静まり返ったオーレの街並みを照らし出していた。 ふらつきながらもなんとか宿へ辿り着いたライズ。 そしてベットへ倒れ込み、そのまま睡魔に身を任せたのだった。
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