深夜の来客

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    「ライズ! 来るよっ!!」 辺りを警戒しつつ、だがライズの背後でカーティスが叫んだ。 自分が戦う気は更々ないらしい。     「こいつら……ヘルハウンドか」     一見、狼のような姿をした魔物はヘルハウンドと呼ばれた。 闇と同色の毛色に相乗し、金色の瞳が鋭く光る。その視線が捕らえるは怯える商人ただ一人。   数は七匹。群れを成し、取り囲むように辺りを徘徊している。   あちらの合図と共に、ヘルハウンドは一斉にへたりこむ商人へと襲い掛かって来た。     「……やれやれだ。 カーティス、そいつを頼む」     あぃっ!、というカーティスの返答が聞こえた直後、商人は空中へと引き上げられた。 自分の身体の何倍もある商人の身体を軽々持ち上げ、カーティスは安全な空へと舞い上がる。 尤も、不意に襟元を掴まれた商人は思わず吐却しそうになっていたのだが。 一人取り残されたライズは、ヘルハウンドに取り囲まれていた。 標的を失った獣たちは低く唸りを上げ目標を変更。 そして一時を置いた後、一斉にライズ目掛けて襲い掛かってきた。 ところが、襲われた本人はその爪や牙をたやすく回避し、そのまま様子を伺っているようで。 「ふん、数ばかりで連携がさっぱりだな。所詮は獣、か」     隙を見計らい、ライズが剣の柄へ手を掛けた。その刹那、一閃の斬撃がヘルハウンドの腹目掛けて放たれる。 『ガフッ……!』 どす黒い血が口と腹から湧き出てくる。一瞬の出来事に為す術もなく倒れるヘルハウンド。 途端、好戦的であった狼たちは浮足立ち、すごすご森の中へと逃げ失せて行った。
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