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翌日、早朝から森を出発し、街へと向かう一行。
昨日の出来事が余程身に染みたのか、ヘルハウンドの遠吠えは聞こえても襲ってくる気配は感じられなかった。
旅慣れていない商人を連れての移動であったので、半日程掛かってしまったが、何事もなく街へと辿り着いたよう。
渋々ながらも商人は報酬を差し出し、そそくさ自分の家へと帰って行った。
「えへへ!
臨時収入ゲットだね、ライズ」
「ああ。普段ならその半額位だが……。まぁ、構わんだろう」
報酬を懐にしまい込むライズ。
弱みに付け込み、さりげなく報酬額を上げていたようだ。
「あっ、そういえばさぁ……ヘルハウンドの卵ってなんで乱獲されたの?」
ふと、思い出したかのようにカーティスが尋ねた。
はてな顔を浮かべ、ライズ顔を覗き込みながら好奇の目を向けている。
「あれは栄養分が豊富でな、美容と健康に大変善いらしい。全国のマダムが殺到していてな。
因みに、冬のハウンドの毛皮は最高級の一品だとさ」
苦笑を湛えながら説明するライズ。そんな話をしながら二人は街の中へ歩を進めて行った。
商人護衛、終了。
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