…運命は、突然…

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それは、九月も終わりを迎えようとしていた頃の出来事だった。 今年は比較的早くから寒波が日本列島を襲い、明朝や夜は厳しい寒さとなっていた。 俺、夏目 雅人(ナツメ マサト)は、コートを着込んで近くのスーパーに出掛けた。久々に今日は何も無いオフの日だったが、落ち着かなかった。 「………俺も来年は卒業、か……」 曇った空を、俺は不満げに見上げた。俺はもう大学四年生。それも半ばを過ぎている。必要な単位も修得した。あとは卒業制作をして、それで終わりだ。 俺は、絵を描く事は昔から大好きで、時間があれば、惜しまず絵を描いていた。中学でも、高校でも、絵を描き続け、念願の美術大学に入った。 しかし、何故か俺は、ここで学んでいくうちに、今までのような、絵に対する心を失ってしまい、描くことよりも技術にこだわるようになってしまっていた。  すると、周りの絵も、自分の絵も、とてもちっぽけなもののように思えて仕方なかった。そして、批判するようになってしまっていた。 そうすると、周りはあまり、俺と口を利かないようになってしまっていた。 …孤立してしまったのだ…。
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