34人が本棚に入れています
本棚に追加
―湖にて―
先ほどまでの湖の面影は欠けらもなく、湖のふちには何かによって無残にもなぎ倒された木々が散乱している。
「ひどい……いったい誰が…」
何か…魔法で争ったようなかんじね…
不意にナツの声が辺りに響いた。
「おーい、カノーン手伝ってくれぇーい」
声のしたほうを見てみるとナツがボコボコになった地面を素手で埋めようとしていた。
「……ナツまさかとは思うけど、魔法使えないの?」
「魔法?
カノン使えるのか!?」
ありえない……この時代にまだ魔法が使えない奴が居たなんて…
「そりゃあ普通使えるでしょ!?」
「いやー、人なんかめったに会わねえからさ…
みんな使えるとは思ってなかった…」
めったにって…そりゃそうでしょうに……こんな森の奥に誰が来るのよ。
あ、私か……
「仕方ないなぁ…
私も手伝うわ!おっ、いいのみーっけ!」
カノンは慣れた手つきで手近の石を拾い集め、人型に積み上げ、最後に何かを書き込む。
「あ、よいしょー!」
すると即席で組み上げた石の人形が意志を持ったように動き出した。
「うぉースゲッ!どうなってんだコレ!?」
最初のコメントを投稿しよう!