天気は晴れ、心は暗雲

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  「おいっ!九条!!」   通学路を半分ほど過ぎたあたりで、声をかけられる。 聞き覚えのある声だと振り返る。   「やっぱり九条だったか。相変わらずちいせぇな」   「お前は相変わらず失礼な奴だな、克則」   朝からムカつくこと言いやがって…まぁ、コイツにとってはいつものことだが。  コイツ…野上克則は、やんちゃそうな笑顔で駆け寄ってくる。   「おはよ。克則早いな、朝練か?さすがは強豪校は違うよな」   克則は空手で有名な高校に通っていて、かなり強い。 ちなみに、双子もその高校から誘いを受けていたはずだが、なぜか蹴ったらしい。 デカいバックの中には、きっと空手着やタオルが入っているんだろう。   「おう、まぁな。…で九条はどうしたんだよ?」   「なにが?」   「双子だよ。ランスロット兄弟はどうしたんだ?」   ………。   さすがファン。 すぐにそっちかよ。 克則は俺の周りをキョロキョロと見回す。当然ながらいるわけがないのだけれど。
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