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あれは、冷たい筈の風が妙に心地よかった日の出来事だった。
その時から、俺の生活は変わったんだ。
《東戸仲(ひがしとなか)高等学校》
通称、《仲校》
「暇……」
俺、《古葉 九御(ふるは くお)》が日々、同じような毎日を過ごす普通の公立高校。
「はぁ……」
俺は、こんな退屈な毎日が嫌いだ。
毎日毎日……同じような事ばかり。そんな日々ならいっそ壊れてしまえ、とさえ思う。
「いいですか、ここは……」
六限目。この日最後の授業、国語。
少量の白髪が目立つ中年、《黒根(くろね)》が授業を受け持つ。
黒根は気が弱く、教室内で黒根の話を聞いている生徒は数名しかいない。
中には伏せて寝る者、ノートに落書きをする者、携帯をつついている者……。
俺もそれに混じり、顔を伏せて寝る。
だが黒根は注意をする事無く、授業を進める。
気付いていないのでは無い。注意をする事で起きる面倒事を回避する為だ。
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