第一限 凸凹コンビ

2/25
前へ
/175ページ
次へ
【二年D組教室(8時30分)】  B組である淳と別れて、悠は二年D組の教室へと向かった。教室に入ると、窓際にある自分の席に荷物を置いて、頬杖をつく熊次郎の姿が視界に入る。  悠は熊次郎の正面にある自分の席に座り、後ろを振り返って問いかけた。 「どうかしたのか? 今日はやけにぶすっとしてんじゃねえか」 「別に何でもないよ」 「何でもないような面してないぞ?──まさか、何かの事件に巻き込まれてる、とか?」 「まぁ、俺にとっては事件みたいなものなのかもしれないな」  事件、と聞いて、悠は瞳を輝かせて熊次郎の机の上に身を乗り出した。 「事件ってなんだ! 教えろウド!」 「誰がウドの大木だ、コラ!」 「あいたっ」  ごつん、と熊次郎が悠の頭を小突く。悠は痛む箇所を片手で抑えながら熊次郎を睨み付けた。 「なにすんだよ、“言葉のあや”じゃねえか」 「意味が違うだろ」  熊次郎が呆れたような表情を浮かべて一息吐く。悠は細かい事は気にすんな、と無邪気な笑顔をしてみせた。 「でも、大木までは言ってねえぞ」
/175ページ

最初のコメントを投稿しよう!

767人が本棚に入れています
本棚に追加