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【二年D組(12時40分)】
四時限目の授業。二年D組の生徒達は教科書を開いて机に向かっていた。
熊次郎は頬杖をついてグラウンドに視線を移す。グラウンドでは、体育の授業で一年生の生徒達が汗を流してサッカーをしている。自分ならサボるだろうな、と心の内で呟いて小さく息を吐いた。
ふと目の前の席に座る悠に視線を移すと、静かに机に向かって本を開いている姿が見える。珍しく真面目だな、と思った熊次郎だったが、悠が開いている本を見て無言で撤回した。
「じゃあ次。岩城くん、続きを読んで」
二年D組担任で英語教師の【亀井 有紀(かめい ゆき)】が言うと、悠が「えぇー」と面倒くさそうな声を出して渋々立ち上がる。
「えっと……。──私は考えた。この事件は館の主人の呪いだ。手足を切断されて殺された岡田も、生きたまま焼かれて死んだこの男も、全ては一年前の惨劇が……」
「ちょっ、ストップ!」
悠の言葉を遮って、亀井が眉間に皺を寄せた。悠は悪びれることなく「何?」と、不思議そうな表情を浮かべている。
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