第一限 凸凹コンビ

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「あなた、一体何を読んでるの?」 「虹村静治の新作、輪廻殺人だけど、どうかした?」 「今、何の授業だか分かってる?」 「え? おい、熊。今何の授業?」 「……英語」 「英語!」 「聞くなぁ! そこも教えない!」  熊次郎から聞いたまま復唱した悠に、亀井が怒りを露にした表情で怒鳴った。熊次郎にしてはとんだとばっちりである。 「大体、なんて残酷な内容なのよ」 「そりゃあ殺人事件だから。あらすじは……」 「言わんでいい! 授業中に小説なんか読んじゃ駄目です」  口を尖らせて、「分かったよ、英語の時間は小説読まないからさ」と悠が言うと、 「英語の授業じゃなくても駄目!」  亀井が張り上げた声で言った時、授業の終わりを知らすチャイムが鳴り響いた。  一連のやり取りに生徒達が笑う中、熊次郎は呆れたように溜め息を吐いて窓の外に視線を移した。先程までいたグラウンドの生徒達の姿は、今となっては一人として残っていなかった。
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