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その後、三人は肩を並べて学生食堂へと向かう。食堂は新校舎を一階に降りた東端にある。
二階から一階へ階段を降りた時に「そういえばぁ」と、淳が突拍子もなく口を開いた。この言葉を発すると、周囲の生徒達も耳を傾け始めてる気さえする。
「亀ちゃん、四回目の見合いも失敗したみたいだぜぇ」
「ギャハハハハ、やっぱ結婚出来ねえな!」
「今でも見合いする女っているもんなんだな」
悠は腹を抱えて笑い、熊次郎はもの珍しそうな表情を浮かべて腕組みした。
──お兄ちゃん!
三人が亀井の話をしていると、一人の女子生徒の声が響き渡った。
声のする先にいたのは、身長こそ低いものの、よく肥えたぽっちゃり体型の女の子。
彼女の名は【中村 真菜(なかむら まな)】──淳の妹で一年生。好きなもの、食べ物全般。嫌いな言葉、ダイエット。見た目通りの大食漢。容姿に関して言えば、“おしい”。痩せてさえいれば、きっと可愛いかっただろう。
悠と熊次郎が淳の家に遊びに行く度、必ずと言っていい程、お菓子片手にテレビを見て笑っている姿が脳裏を過る。
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