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「こんな兄貴じゃ、真菜ちゃんも下手なこと言えないな」
熊次郎が言い、悠がうんうん、と頷く。しかし、
「一年に関しての情報のほとんどは真菜から聞いた話なんだけどなぁ」
そう言う淳に、やはり兄妹だな、と思う悠と熊次郎だった。
三人が食堂に入ると、既に多くの生徒がそれぞれ選んだメニューをトレイに乗せて席に座っていた。
周囲を見回すと、トレイ二つに乗せた料理に瞳を輝かせる真菜の姿があった。両隣に座る女子生徒と見比べると、真菜の体型は一層際立って大きく見える。
「お前等でもいいから誰かあの愚妹(ぐまい)を引き取ってくれよぉ」
お願い、とうなだれたように言う淳に、悠と熊次郎の二人は即答で「無理!」と声をそろえた。
それから三人もメニューを選び、真菜の姿を見ないようにして空いている席を探した。すると、小林大河のいる席が丁度よく空いているではないか。誰が言うでもなく、三人は大河の元へと向かった。
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