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「イチは普通にしてたって目つけられやすいようなタイプなんだからしっかりしろよ!」
はぁーとドでかい溜め息を吐いて俺を睨んでくる。
そう、昔にも色々あった。
って言っても、俺ってば昔の記憶は結構曖昧な感じで、覚えてる事の方が少ないんだけどさ。
その色々ってのは去年の事で、髪も長い、背も小さい、体も華奢な俺は、此処の男子校のそういう奴等からはいい的らしくて。
襲われかけた事も実は何度もある。
その度まこっちゃんが助けてくれて。
俺が弱いんじゃねえよ!?
一対一なら負けねえやい!
…なのに相手は二~三人とかで。
本当に卑怯ったらありゃしねえ。
「聞いてますかぁ?一弥くん?」
『うわぁ!はい!ごめんなさ…い』
「それともそういうの好きなの?」
へっ?って間抜けな声をあげた俺の後ろに回り込んだまこっちゃんは、さっき陽がしたみたいに後ろから抱き締めて来た。
『なっ…!?な……なにしてんだよ!!』
ちょっと理解出来ねえよ!
意味全然分かんねえから!!
「ああいう事されると、寮の風紀が乱れると思わない?」
冷たい声色が耳許で囁くと、俺の体はビクッと反応する。
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