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「…イチっ」
「今の話聞いてたんですか?」
『よく聞こえなかったけど…俺なんかしたっけ?』
二人とも暗い顔で見るだけだ。
なんだよ、何したってぇーの?
よく分かんねえけど、訊かなきゃいけない気がする。
俺のいない所でする俺の話だし、変に不安になんじゃん……。
「たいした話ではないんです、気にしないで下さい」
そう言われて気にならない奴はいるのか?
『俺の悪口でも言ってたのかぁ?』
あの様子じゃ絶対違うだろうけど、わざとふざけて冗談を言ってみた。
うわぁ~無反応って一番辛ぇーかも。
「イチ…ごめんっ」
『えっ?』
俺の脇をするりと抜けて、まこっちゃんは足早に消えて行った。
なんだよ。やっと見付けたのに。
「…お茶飲みますか?」
沈黙に堪えきれなかったのか、柚希ちゃんがお茶の用意を始めた。
『なぁ?一体なんなんだ?』
「本当に…たいした話ではないんです」
どうやら本気で隠し通すみたいだな。
柚希ちゃんよりもまこっちゃんに訊くべきって事か。
二人とも口堅いから、訊き出せねえだろうけど。
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