ヒツジが一匹

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  「胡夏(コナツ)」 「病院の帰り?」 「そう」 「じゃあ一緒に帰ろっ!!」 ――胡夏は、夏みたいに元気で明るくて可愛い…あたしとは正反対の、双子の妹。 そんな彼女が羨ましくもあり、妬ましくもある。 「茅陽さー、好きな人とかいる?」 「えっ何急に」 「うーん…ナツはいるから!ねっ、茅陽は?」 「う…うん…うーん?」 「はっきりしないなあ~」 胡夏は笑いながらあたしの背中を叩いた。 好きな人くらい、胡夏じゃなくても――いる。 相思相愛。 恋人は、あの頭脳明晰、容姿端麗の幸人先生!!って自慢したいけど…誰にも言わない約束だから、胡夏にも言えない。 相槌を打つだけのあたしと、明るく喋る胡夏。 二人は顔さえ似れども、中身まで似ない双子。  
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