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「そういえば、高校どう?」
「うん…普通」
幸人先生が苦笑した。
時計を確認しながらあたしからそっと離れる。
「カーテン引いとくね。終わる頃にまた来るから」
「ありがとーございます」
にこりと笑った先生の顔が、ジャッという音と共に青い布の向こう側に消えた。
「…」
隠れて溜め息。
点滴をしていない方の手を額に寄せた。
――あたしは昔から病弱だ。
持病のために運動をすることができない。
本当はみんなと同じようにグラウンドを、体育館を、通学路を、自由に走り回りたい。
普通にできることが、あたしには出来ない。
そんな悔しさを抱えながら、今も昔も――遠くから見つめているだけ。
カーテンの向こうから、新しい患者さんと幸人先生、看護師さんの話し声がする。
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