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「お前ら、順番に並んで引き抜いてみろ!ほら、並んだ並んだ!」
皆、剣の前で一直線に並んだ。前をちらちらと見て、自分の番を今か今かと待っている。
「くっそー、固くて全然抜けないや」
「これ、本当に抜けるのか?」
子供たちは、力を入れすぎて赤くなった手を揉みながら、悔しそうに次々と列から外れていった。
「はは!誰も抜けなかったみたいだな!」
ダグとアーサーを除く全員が剣との力試しを終えた時、ダグが笑った。
「あれ?そう言えばダグだけやってないな」
イーノスが不思議そうに言った。他の子供たちも頭を傾げる。わがままなダグなら、いの一番に剣に飛びつきそうなのに。
「ふっふっふ……焦らずとも、この剣は俺様が抜くのだから、お前らには抜けないってこった。ブリテンの王が誕生する瞬間を見せてやらあ!」
そう叫んで、ダグは柄に手をかけ引き抜こうとした。しかし、いくら力自慢のダグであっても、剣はびくともしなかった。
やがてダグは諦めて、悔しそうに背を向けた。
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