6人が本棚に入れています
本棚に追加
誰も抜けないことを知り、皆その場を去り始める。その時、剣の柄に手をかける者がいた。アーサーだった。
「はん、やめとけやめとけ!俺様でも抜けなかったんだ、お前なんかじゃ100年かかっても抜けっこねえよ!」
「そうだそうだ、君なんかに抜かされたらたまったもんじゃない!君が恥をかくだけだぜ」
ダグやイーノスを筆頭とする周りの野次をよそに、アーサーは両手で剣をゆっくり引き始めた。確かな手応え。次の瞬間、神々しい光が剣から溢れ出した。まるで、アーサーの手を包み込むように絶え間なく。
「ま、まぶしい……」
皆、たまらず手で目を覆った。アーサーだけがただ一人、引き抜かれていく剣をじっと見つめていた。
やがて光が収まり、アーサーがどうなったのか、皆恐る恐る目を開いた。
アーサーは両手で剣を持ったまま、動こうともしない。アーサーを見、剣を見、皆暫く唖然とした。何故ならば。
剣が可愛らしいピンク色をしていたから。
最初のコメントを投稿しよう!