混乱④

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それから数日。 克季が秘書兼マネージャーとして落ち着いてきた頃。 海外から玲が戻って来た。 克季の事が気になったのか、空港からそのまま事務所に来たと言う。 ソファーに座って居る玲は、克季の行動を目で追っていた。 「大丈夫だ」 「そうか?」 「あぁ。よくやってくれている。様になってきただろう?」 そう言うと、肩をすくめる。 「克季が様になったなら、モデルとして復帰したらどうだ?」 思いもよらぬ言葉に俺は驚き、 「まさか考えてなかったのか?」 「…そういう訳じゃ…」 とは言ったものの、玲から言われるまで考えていなかった。 「そろそろいいんじゃないのか?もう何ヶ月になる?」 「そうだな…」 そう言った後、俺は唯斗を見る。 「唯斗か」 「うん。まぁーな」 唯斗が記憶を失った後、モデルの仕事は記憶が戻ってからと思っていた。 「お前がモデルとして復帰して現場に連れて行けば、記憶を取り戻すきっかけになるかも知れないだろう?」 確かにそうは思う。 一日中部屋の中に居ては、取り戻すきっかけも少ないのかも知れない。 「考えてみるよ」 少しだけ考える時間が欲しかった。
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