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下に降りた瞬は、何をする訳でもなく俺の横に立っていた。
俺は瞬の事を気にしながら朝食作りを始める。
「…たくみ」
「はいよ。どうした?」
瞬の顔を覗き込むと、への字口を作りながら泣きそうな顔をしていた。
「瞬」
幼稚園に行くと言ったのだが、やはり本音は違うのだろう。
「ご飯食べようか」
「…あい」
こんな瞬の姿を見るくらいなら、幼稚園には行かせず事務所に連れて行きたい。
だが、それでは瞬の成長を妨げてしまう事になる。
「椅子に座ろうか」
「あい」
椅子に座った瞬は、俺の行動を目で追っていた。
「…たくみ」
「うん?今行くよ」
そう言いながら瞬の横に座ると、少しだけ安心した顔をする。
「食べようね。いただきます」
「…いただきましゅ」
時間を気にしながら、瞬と一緒に朝食をとった。
朝食をとった後は着替え。
「瞬。一人で着替えられる?」
「できる」
瞬が着る洋服を用意してやると、一人で着替え始めた。
自分の着替えをしながら瞬の様子をみる。
ゆっくりではあったが、瞬は一人で着替えを完了させた。
「出来たの?」
「できた」
そう言うと、俺に抱き付いてきた。
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