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「何だかな」
「まっ、そう言うな」
「だってさ…」
「あれでも一生懸命仲良くなろうとしてると思うぞ」
「そうだといいんだけど」
克季は克季で、連中と仲良くなろうとしていると思う。
連中もまた、克季が自然と輪に入ってくれるのを待っていた。
「ゆいと、おわり?」
「はい。終わりました」
そう聞いた瞬は、唯斗の両手をギュッと握り締めた。
「あの…拓巳さん」
「うん?」
「片付け終わりました」
「おぉ。こっちに来て少し休みなさい」
「はい」
瞬に手を引かれながら、唯斗はソファーに近付いて来る。
「ゆいと」
「何ですか?」
「だっこ」
唯斗に抱っこしてもらった瞬を見て、
「瞬。甘えん坊さんだ」
薙にそう言われると、瞬は顔を隠した。
瞬の顔は唯斗から見えるようで、
「瞬君…泣かないで下さい」
その言葉に、そこに居た誰もが驚いた。
「泣いてるのか?」
「いえ…泣きそうな顔をしているので…」
俺は表情を確認しようと、瞬の顔を覗き込む。
「瞬」
「いや…」
そう言って、俺から顔を背けてしまった。
「ありゃ、怒ってるな」
瞬の態度を見ていた薙は、心配そうに見つめていた。
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