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俺達の話が途切れると、玩具で遊んでいた瞬は振り返った。
そして、
「れい!」
そう呼んで立ち上がり、玲に向かって来る。
「おぉ。チビちゃん、どうしたんだ?」
「これ!」
玲に買って貰った玩具を高らかと上げて、
「気に入ってくれたのか?」
「あい」
気に入ったと嬉しそうに、玲の足に顔をスリスリ。
「何だ?」
そう言われると、瞬は恥ずかしそうに、
「れい。だっこ」
「抱っこか?」
「だっこ、しゅる」
玲は相変わらず渋々ながらも、瞬を抱っこしてくれた。
と同時に、カップを下げに来た克季はニヤニヤしている。
「何笑ってる?」
「いや。あなたが子供…なんて想像出来なかったから」
「悪かったな」
「似合ってますよ」
「五月蝿い」
「おかわり作ってきます」
玲に怒られる前に、克季はカップを持って給湯室に向かって行った。
瞬と出会った頃は、抱っこするなんて有り得なかった事だ。
それが今は、一緒に遊ばないにしろ抱っこはしてくれる。
玲がと思うと、俺は嬉しかった。
「拓巳もニヤニヤしてんじゃねぇよ」
「すまんすまん。ついな」
嬉しいと思う気持ちが、俺の表情に出ていた。
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