混乱④

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「ゆいと」 「はい」 「しゃ、しゃみちくない」 そう言いながら、自分が座っていた椅子の上にぬいぐるみを座らせる。 「ありがとうございます」 唯斗にお礼を言われると、満面の笑みを浮かべた。 祥の所に戻った瞬の次の行動は、ポシェットを手にして飴を取り出す。 「なぎ」 「うん?」 「どうじょ」 「ありがとう」 順番に配るのか、 「しょう、どうじょ」 「どうも」 二人に渡し終えると、また祥から離れて、 「たくみ」 「どうしたの?」 「あめ、どうじょ」 「ありがと。瞬の分はちゃんとあるの?」 「ある」 そう言って、今度は克季に向かって行った。 「かちゅき」 手を出された克季は、飴玉を取る。 「…どうも」 克季が受け取ったのを見届けると、最後に唯斗に向かって行く。 「ゆいと、どうじょ」 「あっ、ありがとうございます」 唯斗が終わると、 「くましゃん、どうじょ」 そう言いながら、テーブルの上に飴玉を置いた。 配り終わった瞬は、再び祥の胡座の上に戻って行く。 「瞬は優しい子」 薙に頭を撫でられると、照れたように笑っていた。 そんな瞬の表情が好きでたまらなかった。
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