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仕事もそろそろ終わろうかという頃。
歩夢と和沙が帰って来た。
入ってくるやいなや、相変わらず真っ直ぐ瞬の所に向かう。
「ただいま」
「おかえりなしゃい」
「おいで」
歩夢が腕を伸ばすと、瞬は抱き付いた。
だが、すぐに祥の胡座の上に座る。
「瞬。もっと」
「いや」
「えぇー。拒否られた」
歩夢はショックな様子だったのだが、周りからは笑いが起きていた。
「笑うな」
「今日の瞬は祥がお気に入りなんだよな」
「そうなの?」
「そうそう。俺なんて一回も抱っこしてないし」
そう言いながら、薙は肩をすくめる。
「瞬のお気に入りって何?」
言われている事が判らない様子の瞬は、ジーッと歩夢の顔を見ていた。
「あっ、判んないか。瞬の一番は何かな?」
そう聞き返すと、瞬はニコニコしながら、
「たくみ」
「拓巳さんが一番?」
「あい」
言われると思ってなかった俺は、自然と顔がほころぶ。
「うわー。拓巳さんの顔」
そう言われ、少し恥ずかしくなってしまう。
「はいはい。一番なのは判ったよ」
何故か連中に呆れられる。
瞬から言われたのが嬉しくて、この日俺は全員を夕飯に誘った。
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