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懸命にあやしたのだが、瞬は泣き止む気配を見せない。
それどころか、顔を真っ赤にして泣いていた。
「ごめんごめん。拓巳が悪かった。だから泣かないで」
自分をコントロール出来ない瞬は、声を出して泣き続ける。
「瞬、お外に行こうか」
「……いや…いかない」
「行かないの?」
「…いっ……いやぁー」
行かないと言われてしまえばそれまでなので、俺は瞬を抱っこして事務所の中を歩き回った。
「よしよし」
歩き回りながら瞬をあやして、
「瞬。暑いだろう。いっぱい汗かいてる」
瞬の首筋を触ると、汗で後ろの髪が濡れている。
泣いている事もあって瞬の体温が上がり、抱っこしている俺までもが汗をかいていた。
汗を拭きながら、瞬が落ち着くのを待つ。
その内に、親指をくわえて俺の胸に頭を預けてきた。
「落ち着いたか?」
瞬の顔を覗き込むと、ボーっと一点を見つめる。
「瞬、お着替えしよう。汗でびっしょりだ」
そう言っても、瞬からの返事はない。
ソファーに座らせたらまた泣き出すと思った俺は、瞬を抱っこしたまま着替えをする事にした。
着替えをしている間、瞬は泣きそうな表情をしていた。
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