ロミオminusジュリエット

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だんだんと 異常な世界から戻ってきた僕は 薄暗い建物のほうに振り向いた。 早く行って 「大丈夫ですか?」と声を掛けて 警察に電話をして話をしないと。 アイツらの やったことを咎めないと。 分かっているのに 体がそこから一歩も動かない。 動けなかった。 あんな目に合った彼女に 何て声を掛ければいい? 携帯を盗られて何も出来ずに 外で見張りをしていた僕に 何がしてあげられる? 助けを呼びにも行かずに 誰かが気付くのを待っていた 他力本願な僕に一体何が出来る。 彼女はきっと、いや絶対に 僕の顔など見たくもないだろう。 彼女にとって僕は あの男たちと同じだ。
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