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だらりと俯いたまま、
僕は携帯で警察へ掛けた。
「…………もしもし。
女の子がレイプされました。
今すぐ助けに来てください。」
場所を伝えると電話を切って
走って家に帰った。
早く逃げたかった。
早く忘れたかった。
見た物を全部
無かったことにしたかった。
ただその一心で走っていた。
それから
あの女の子がどうなったのか
僕には知る由もない。
「どうしたの?
今日はずっと黙ってるのね。
何か考え事?」
「美月…………」
じっと美月の顔を見つめる。
もしあの時
レイプされていたのが美月でも
僕は止められなかっただろう。
あの頃の僕は
大事な物など持っていなかった。
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