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4月18日 午後3時40分
フレッジオ共和国首都・サエッタ上空
雲一つ無い透き通るような青空を、一機の白い戦闘機が飛んでいた。
「異常は…無しか。計器類も問題ないな。」
リック・グレイスはそう呟いた。
彼は、昨日メンテナンスから戻ってきた機体のテスト飛行を行っていた。
リックが乗っているのはF-5E タイガーⅡ 性能は一線機より劣るものの、操作性や信頼性の高さからフレッジオ空軍の主力機の一つになっている機体だ。
機体をゆっくりと左に旋回すると、眼下にはサエッタの雄大な街並みが広がっていた。
「相変わらずだな…何も変わっちゃいない。」
首都でありながらも古くからの街並みを残すこの街は、フレッジオの平和の象徴でもあった。
昼下がりのサエッタの空に白い弧を描きながら街を見下ろしていると、突然無線のコール音が鳴った。
「こちらアスカ1、どうぞ。」
《こちら管制塔。アスカ1、機体の調子はどうだ?》
「機体、計器類、全てオールグリーン、問題は無い。テストは順調だ。」
《了解。そろそろテスト飛行を終了し、基地へ帰投せよ。それと…くれぐれも寄り道はするなよ。》
「……了解。これより帰投する。」
そう言いながらリックは機体を基地のある方角へと向けた。
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