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午後5時23分
サエッタ空軍基地
「おぉ、帰ってきたか!!」
テスト飛行から帰ってきた俺を出迎えたのは、訓練所時代からの悪友、リチャード・エルスマンだった。
リチャードはそのテンションの高さと明るい性格から、基地内のムードメーカーでもある奴だ。
「何だよリチャード。おしゃべりなら他のヤツとやってくれ。俺は今日は疲れたんだ。」
「そんな事言うなよオイ。晩メシまでヒマなんだよ。ちょっと付き合え。」
そう言いながらリチャードは俺に缶コーヒーを投げ渡した。
「お、サンキュー。」
基地の待合室でコーヒーを飲みながら2人で休憩をとっていると、突然リチャードが声のトーンを落として唐突に話を切り出した。
「…そういえばリック、知ってるか?」
「…何だ?いきなり。」
「俺の知り合いから聞いた話なんだけどよ、最近国境近くでクラインが怪しい行動を取ってるそうだ。」
「それがどうした。そんな事は前から何度かあったじゃないか。」
以前からクライン帝国とフレッジオ共和国の国境線近くでは、クライン軍の戦闘機が領空侵犯ギリギリの距離でフレッジオの国境線沿いを通過していくという事態が何度もあった。
今更騒ぐほどでもないだろうと思いながら俺は話を聞いていた。
「いや、それがな、今回はちょっと状況が違うんだ。ヤツら国境の近くに陸軍の部隊を配備しているらしい。それもかなりの数だそうだ。」
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