プロローグ

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解雇にされた理由は上司に逆らったから、らしい。 詳しくは行ですらも分からない。 元々、口が悪くて荒っぽい性格ではあったが、絶対に仕事では慎んでいたし、罵声を浴びせられようが、何をされようが、行はずっと耐えてきた。 なのになんでなんだ?と、振り返り、ちょっとたってはまた振り返り…だけどやはり理由という答えにはたどり着かなかった。 「金がねェ」 考えるのを諦めると チッと舌打ちをし、ため息。先程からこれの繰り返し。 確認をしたって同じなのに、行は癖みたいに確認をやめなかった。 今年で23歳になる彼は、特別に普段から金を使うわけでもなく、むしろコツコツと金を貯めるマメな部分も見られた。 無論、付き合いでのお金は別で、ケチることなく生活していた。 しかし、その貯金も当たり前だが底をつこうとしている。 減らさない為にも、食事を抜いたりしたりしてなるべく抑えて、その間に仕事を探したりと努力はしていた。 中卒後、仕事が生き甲斐で頑張ってきた日々を消された今、行は段々と自分自身がわからなくなった。
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