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カサカサと葉同士がぶつかり合い、涼しげな風が行の肌を撫で、堂々とベンチに腰かけるとそのまま寝そべった。
もう、仕事を探す気すらない。
頑張ったって、結果は同じ。
探しても、探しても、行は資格だって持ってないし、パソコンも使えない。
……色々疲れたんだ。と、行は目蓋を閉じる。
桜のほのかな香りが行の鼻に入る。
周りからは子供の声やら、噴水から溢れた出る水の音、街が合奏していた。
―――その時だ。
とある音が、行の耳の中にずば抜けて大きく聴こえてきたのだ。
『○○○県、△△市に、何者かに泥棒に入られ、現金100万円を盗まれた模様…』
ラジオの音だ。
数メートル先にあるベンチに、1人の老人がラジオを聞いていたのだ。
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