プロローグ

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行は身体を起こす。 そのラジオの内容に妙に惹き付けられたのだ。 どこの家に何があったのかなんてどうでも良い。 “泥棒”という単語が行の頭の中を反応させたのだ。 「………これだ…」 不審な笑みが行の顔から滲み出る。端から見れば、確実に不審者だろう。 でも、行にとっては、重大な決断を下してしまった瞬間だった。 「……金がないなら、“泥棒”でもすればいいじゃん」 絶望に澱んでしまって、自身を見失ってたかもしれない。 何故か普段とは違う脳内が、偶然に偶然を重ねてしまって、今から行の人生に悲劇を起こす勢いなのでいた。 否、“起こしてしまう”しか正しい。 「……金を……盗もう!」
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