プロローグ

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   ◆  ◆  ◆ 人は産まれた時は皆一緒だ。 善人も、悪人も。 始めは天使のような赤ん坊だった。 ただ生きる中でどこかで違うだけで、どちらかになる。 ――今、藍瀬 行という青年は“悪人”という人種に染まろうとしながら、家だらけの道を歩いていた。 悪人への道、“泥棒”という犯罪をしようと家々をさ迷っている。 「どの家にしようかな、」 貰いたての給料で入るレストランを選ぶみたいに、行の目はウキウキ感溢れていて、回りから見れば怪しい様子など全く見せない。 むしろ、行の整った顔立ちの目の輝きは誰もが話かけたくなるほどのものであった。 「どうせなら、金がある所がいいな」 金の欲しさに理性を保てなくなる行。 分からない…。 もう悪いことが何なのか。 ただ、金が欲しい。 それだけで行は動いていた。
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