プロローグ

9/16
前へ
/39ページ
次へ
歩く都度に、レンガ式の家やら日本風な家やらがスライドショーみたく流れながら目に入る。 …けど、どれもパッとしなく、行の犯罪心には響かなかった。 って言うか、その方がいいのか。 このまま、気にいる家がなく、行の善人精神が灯せば良かったのに… 最悪な現実は訪れた。 「……お、この家いいじゃん」 ――行の視線の先には、今にも金がありそうな洒落た家が存在してたのだ。 大きく、洋風仕立てで、それでいてセキュリティが万全そうではない、泥棒が入りたがりそうな家。 もちろん、行が放っておく分けがなく、衝動を抑える事もしないまま、その家に近づいた。 「凄い金のありそうな家なんですけど」 興奮する行は、周りに聞こえない程度の声でクスクスと笑う。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加