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少年は手が掲げると、その手に儀式用の剣が現れた。
全校生徒が固唾を呑んで注目する中、少年の剣がまばゆい灰色の光を放つ。
全てが灰色に染まった……。
そして、私は……全てを思い出した。
まったく……まさかこのタイミングで思い出させるなんてね。
そういえば今日はあっちの世界で、ちょうどタイムリープした日に当たるのか。
それにしたって遅い。
遅すぎる。
ていうかなんであなたが校長なのよ。
いろいろ言いたいことはあるけど、残念ながら私の中での最初の言葉は十年前から決まっている。
なんだかんだで約束は果たしたし、最初の言葉が文句では十年間の苦労も報われないだろう。
だから、最初だけは労いの言葉をかけてあげる。
数ある文句はその後でも遅くはない。
「おかえり。朱也」
「ただいま」
私が微笑むと、朱也はやり遂げたように満面の笑みを返してきた。
何、全部終わったかのような顔をしてるんだか。
まだまだ終わらない。
私たちの魔法学園生活はこれから始まるんだから。
終
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