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>「皆は帰しました。杉浦も鈴木に送らせました。」
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>水と濡らされたタオル、小さな箱を持って速水が言う。
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>村上に渡そうとするが、力がうまくはいらないのをみて、松岡に渡す。
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>「村上ちゃん、飲ましてやろう」
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>「いらんっ」
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>「照れ屋さんなんだから」
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>「……………」
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>速水は2人を無視して、村上の腕を掴んだ。
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>小さな箱をあけて、消毒液と脱脂綿を取り出す。
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>テキパキ村上の傷を消毒し、ガーゼを巻いてテーピングをした。
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>「すげーなぁ。お前、スポーツでもしてた?」
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>「いえ。実家が病院ですので見慣れています。」
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>「へぇ、医者の子供だったのか」
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>村上は知っていたが、松岡は初耳だったらしい。
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>「では、僕も失礼します。」
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>淡々と手当てを済まし、速水は立ち上がった。
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>「速水」
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>「はい」
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>「助かった。ありがとう。」
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>村上が礼を言うと、速水は一礼して出ていった。
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>「わからん。速水がわからん。」
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>横で松岡が呟いた。
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