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>村上とて健全な男性であるから、人並みに性欲もあれば、美人を見て悪い気はしない。
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>しかし先程からの杉浦に対する感情や感覚は、そういったものではなかった。
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>しかし、やたらに杉浦に目がいってしまう。
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>「この距離でよく動けますね、部長。」
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>杉浦が言った。
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>いつものようにオドオドした言い方ではなく、どこか別人のような話し方に聞こえた。
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>「本当はこんなやり方は好きではないんですが」
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>杉浦が村上の指に唇をくっつけた。
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>給湯室と同じように、触れられた箇所が熱くなる。
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>「じっとしていて下さい。すぐよくなりますから。」
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>杉浦は唇を離すと、村上の手のガーゼを器用に歯で剥がした。
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>そして、傷口に自分の左手を寄せる。
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>杉浦の傷口から血が流れ、村上の傷口へと落ちた。
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