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【1・死を望む少女】
中学校への道を歩む中、佐藤未來(さとうみく)は雲一つない青空を仰ぎ、溜め息をついた。どこまでも続く青い空はいつも変わらない。それに安心する人はたくさんいるだろう。だが、未來はそう思わなかった。それが退屈でたまらなかったのだ。
まるで、誰かに決められた道を歩くような周囲の空気。それに流されている自身がある。なんと哀れなことだろうか、と未來はよく考えた。
「嫌だよ。ほんと」
未來は小さくつぶやく。そのわりに、校則を守っている自身があるのも事実。
白いブラウスは第一ボタンまでしっかりと止め、ネクタイも緩めず強く締め、その上に黒に近い紺色の上着を羽織っている。上着と同色のスカートの丈は、膝下約二センチ。胸元まであろう髪は、綺麗に束ねられゴムで一つに縛られていた。
本来あるべき制服の着方。本来あるべきの生徒の姿。生徒手帳の模範のような未來は、教師の間でよく話題になった。おまけに、成績もいいものだから「優等生」という看板を背負わされた。
そんな自身に嫌気がさす。結局は校則に縛られ、周囲の空気に身を任せ生きているのだ。そして何より、自分の考えと行動が矛盾していることが嫌だった。
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